フェイス
カナタ先輩がナンパしてしまうほどの可愛い女の子。


そう思うと自信が湧いて、何曲でも歌う事ができた。


「ねぇ、ナナちゃん」


あたしが歌い終わったところでカナタ先輩がそう呼んできた。


あたしはひと口オレンジジュースを飲んでカナタ先輩を見る。


「どうしたんですか? 次の曲、入れてなかったんですか?」


そう言って選曲の機械を手に取ろうとした時だった。


伸ばした手を、カナタ先輩に握られていた。


一瞬時間が止まったような気がした。


あたしは手を握られたまま、ゆっくりとカナタ先輩へと視線を向ける。


「先輩?」


「ナナちゃん……俺と付き合ってくれない?」
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