フェイス
曲を入れないのも、手を握るのも、完全に手馴れていると思った。


けれど……あたしは内心ニヤリと笑う。


やっぱりナナに告白をしてきた。


あたしは困ったように一瞬眉を下げ、そして顔を赤らめてほほ笑んだ。


嬉しがっているように見えているだろうか。


「ありがとうございます。あたしもカナタ先輩のこと――」


そこまで言った時、カナタ先輩に抱きしめられていた。


さすがに驚いて目を丸くした。


「ありがとうナナちゃん。よかった、OKしてもらえて!」


そう言ってあたしの体をきつく抱きしめる。
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