フェイス
「ちょ……先輩」


「あぁ、ごめん。つい」


そう言って身を離したカナタ先輩は顔を赤らめてほほ笑んでいる。


「でも本当に俺でいいの?」


ふと真剣な表情になってそう聞いて来た。


ここまで自信にあふれた行動をしておいて、俺でいいってなんだ。


心の中でそう思いながらも、あたしはコクンと頷いた。


「もちろんです」


「ありがとうナナちゃん」


そう言うと、カナタ先輩はあたしにマイクを渡して来た。


「カップルになって最初の歌。一緒に歌おう」


カナタ先輩が選曲したのは男女で交互に歌う歌だった。
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