フェイス
ベタベタすぎるけれど、2人きりという空間がそれを甘い物に演出してくれる。


気が付けば歌いながらカナタ先輩と強く手を握り合っていた。


このまま時間がずっと続いて行けばいいと感じていた。


その時だった。


急激な痒みがフェイスの下に走った。


頬がビリビリとしびれるように痒い。


思わず顔に手を当てる。


「ナナちゃんは歌が上手いね」


1曲歌い終わってご満悦なカナタ先輩。


けれどあたしは今それ所じゃなかった。


一気に襲って来た痒みは徐々に強くなってきている。
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