フェイス
ひっかく
それからあたしは体調が悪くなったことにして、勇とのデートを終わらせていた。


途中まで送って帰るという勇を断り、すぐにまたコンビニへと引き返した。


そのままフェイスを取り、歩き出す。


痒みと痛みはそれでも治まる事はなかった。


外気にさらされた傷が痛む。


人がジロジロとこちらを見ているような気がして、家までの道は小走りになった。


そのまま誰にも気が付かれないように自室へ向かおうと思ったのに、玄関を開けた音でお母さんが出てきてしまった。


「おかえり」


と、言い終わる前にあたしの顔を見て息を飲んだ。
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