フェイス
「でもダメだよ」


あたしは強い口調でそう言った。


「え?」


「勇は他に好きな子がいるの。聞いてない?」


そう言うと、梓は目を見開いた。


何も聞いていなかったみたいだ。


「その子はあたしの友達でね、すごく魅力的なの。勇好みの女の子。だから、2人の仲を引き裂くのはやめて」


あたしは早口にそう言っていた。


今になって梓に邪魔されたくなんてない。
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