フェイス
「そうなんだ……」


梓はうつむき、小さな声でそう言った。


今まで勇の良さに気が付く事もなかったくせに、本当に梓は勝手な子だ。


「ねぇ葉月、その子に会わせてくれない?」


そう言われ、あたしは立ち止まった。


「え……?」


「どんな子なのか見てみたい。見てから諦めたい」


真っ直ぐにあたしを見てそういう梓。


そんなのできるわけがない。


でも、自分の顔に自信があるからこそ、他の女の子には負けたくないという強い意思を感じられた。
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