フェイス
あたしは目を見開いてカナタ先輩を見る。


カナタ先輩は、まるで汚い物を見るかのような視線をあたしへ向けている。


ナナであったときにはあれだけ優しくしてくれたのに……!


「あなた、誰?」


美春先輩に怪訝そうな顔を向けられ、いてもたってもいられなくなった。


2人から逃げるように走り出す。


「今の子、すごい顔だったな」


カナタ先輩のそんな呟きが、後方から聞こえて来たのだった。

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