フェイス
近くまで来て、初めて美春先輩に気が付いたように装い目を丸くしてみせた。


「ナナ、今日はごめん。どうしてもこいつが一緒に来たいっていうから」


カナタ先輩がそう言い、あたしの為に椅子を引いてくれた。


「美春先輩……ですよね?」


「そうよ。始めました」


あたしを見た瞬間、美春先輩が息を飲むのがわかった。


平静を装って入るけれど、動揺は隠せていない。


あたしの可愛さに圧倒されているのだ。


「ナナ、何注文する?」


「じゃあ、クリームソーダで」


「わかった」
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