フェイス
それから土曜日まではあっという間だった。


今日は梓とユナが会う約束になっている。


この前ナナのフェイスを付けてしまったことで、あたしの顔の荒れは引く事がなかった。


あたしは鏡の前に立ち、相変わらず汚いままの自分の顔を確認した。


ブツブツは随分潰れてなくなったと思っていたのに、またぶり返してきている。


裂けた皮膚はなかなか元には戻らず、薄皮がはがれたままだ。


一番気になったのは瞼の上だった。


フェイスのせいで蒸れて腫れてしまっている。


自分で見ていても、原型をとどめていないと感じられてしまった。


「もう少し改良してくれなきゃ、付けることができないじゃん」


ぶつぶつと文句を言いながらユナのフェイスを手に取った。


時間ギリギリまで待っていたけれど、そろそろ外出しなきゃいけない。


あたしは半ば無理やりユナの顔をつけて、外へ出たのだった。
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