フェイス
「嘘でしょ……? 冗談はやめて」


呟く声が震えている。


恐怖が全身に駆け抜けた。


皮膚のかゆみは更に強くなっている。


もうデート所じゃなかった。


あたしはトイレから出ると、勇にバレないようにして外へ出た。


痒みで涙が滲んでくる。


歩いていると声をかけてくる男たち。


しかし、その相手の顔を見る余裕さえなかった。


早足で家に戻り、自室にこもった。


鏡の前で自分の顔をジッと見つめる。


フェイスを引っ張ると、自分の皮膚まで引っ張られるのがわかった。
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