フェイス
「どうしよう、どうしよう」


焦りで全身に汗が噴き出した。


このままじゃ元の顔に戻れない!


あんな顔に戻る必要なんてない。


けれど、ユナになったままだとあたしの居場所がなくなってしまうのだ。


とりあえず、このフェイスを取らなきゃ!


そう思ったあたしはフェイス販売会社へと電話をかけた。


休日だけれど、数コールで相手は出てくれた。


「もしもし!? 助けてください! フェイスが取れないんです!!」


相手が名乗る前にあたしは怒鳴るようにそう言った。


顔の痒みも、もう限界だ。
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