フェイス
眠って起きたら元通りなんて、絶対に嫌だ!


ここで美人に生まれ変わらせてくれれば、あたしはもうフェイスを付けなくても済むんだから!


「お……母さん……」


そう言う唇がやけに重たくなってきた。


さっき起きたばかりなのに、瞼も重たい。


きっと点滴に睡眠導入剤でも入っているのだろう。


「おやすみ、葉月。次に起きた時には、きっと元通りだからね」


お母さんの声に絶望が広がり、しかし何も言えないまま目を閉じたのだった。
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