フェイス
☆☆☆

入院期間は一か月にも及んだ。


その間に数回の手術を受け、文字通り葉月に戻ってしまった。


病院のトイレで鏡を見てため息を吐き出す。


肌は綺麗になったけれど、結局この顔に戻ってしまった。


目は小さく、鼻は低く、頬骨が出ている。


ユナやナナとは大違いの自分の顔。


落ち込んだまま病室へ戻ると、お母さんがリンゴを剥いてくれていた。


「葉月、そういえば部屋にあった気持ち悪いお面は捨てたわよ」


「え……」


「あのお面、なんなの? あれを付けたから顔が荒れてたの?」


次々と質問され、頭が混乱する。


「ちょっと待って、あれ、捨てたの?」
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