フェイス
『申し訳ございません。天宮様にはもうフェイスをお売りできないことになっていました』


「は……?」


あたしはスマホを握りしめたまま、瞬きを繰り返した。


『フェイスを危険使用していたということで、勝手ながら注文は取り下げさせていただいております』


女性の声が歪んで聞こえた。


この人は一体何を言ってるの?


フェイスの危険使用?


ちょっと肌荒れを起こしただけじゃん!!


「なんでですか? お金はちゃんと支払いますよ?」


自分の声がひどく震えていた。


もうフェイスを購入することができない。


その恐怖が足の先から全身を包み込んでいく。
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