フェイス
「なに、それ……」


「家まで来るとか、ちょっと嫌なんだよね」


「なんで……? だって、あたしは彼女だし……」


そう言うと、カナタ先輩は大きなため息を吐き出した。


「じゃあ、今日で彼女やめてくれない?」


呼吸が止まってしまうかと思った。


カナタ先輩は一体なにを言ってるんだろう。


「どうせナナだって俺の顔目当てで近づいて来たんだろ?」


そう言われると、何も返事はできなかった。


「美春先輩が言ってたこと、本当だったんだ……」


「あぁ。そうだな」


カナタ先輩はもう否定もしない。
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