フェイス
スレンダーで手足が長く、美人で有名だ。


「へぇ……」


聞き耳を立てていた葉月がそう呟いた。


「綺麗系なんだね」


あたしは葉月へ向けてそう言った。


あたしが持っているフェイスは可愛い系だ。


勇の好みのタイプとは少し違うかもしれない。


もしもあたしが綺麗な子になったら、勇は振り向いてくれるんだろうか?


「綺麗系なら、梓も違うよね」


葉月の言葉にハッとして顔を上げた。


そうだ、梓も可愛い系の子だ。


「それじゃ……」


あたしがフェイスを購入すれば、勇はあたしのものになる……!


「どうしたの葉月?」


「なんでもない」


あたしはそう返事をして、自分の緊張を沈めたのだった。
< 69 / 271 >

この作品をシェア

pagetop