フェイス
☆☆☆

勇の好きなアクション映画は見ていてとてもつまらなかった。


画面が次々と切り替わり、派手な音がするだけで内容はちっとも入って来なかった。


「こんな映画に付き合わせてごめんね。つまらなかっただろ？」


映画が終ってからそう言われ、あたしは慌てて左右に首を振った。


「そんなことないよ。主演の男優さんがすごい演技力だったよね。あたしもあの人が出演してるアクション映画が大好きなの」


映画と男優については予め調べてある。


ここで勇とユナは同じ趣味であると思わせておくのだ。


「そっか。それならよかった」


勇はとても嬉しそうに笑っている。


学校じゃ見たことのない笑顔だ。
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