フェイス
『もっと気になる子』


その言葉にあたしの心臓は早鐘を打ち始める。


もしかして、という期待が膨らむ。


「なんだよ、そんなに可愛い子がいたのか?」


「いた。1度しか会った事がないけど」


「なんだよそれ」


カナタ先輩の言葉に不思議そうな声を漏らす男子生徒。


あたしは箸で卵焼きを挟んだまま、動けなくなっていた。


彩羽も先輩たちの会話が気になるのか、さっきから動きを止めている。


「駅前のショッピングモールですれ違った子。ものすごく可愛かった」


その言葉に全身がカッと熱くなるのを感じた。


間違いない、それはあたしのことだ。
< 98 / 271 >

この作品をシェア

pagetop