フェイス
「すれ違っただけか?」


「ナンパしたけど、逃げられた」


カナタ先輩がそう言うと周囲がどよめいた。


「お前がナンパして引っかからないなんて、珍しいな!」


そう言ってカナタ先輩の肩をバンバン叩いている。


「そのくらい可愛かったんだ。俺なんか相手にしないくらい」


「へぇ! その子すげぇ見てみたい!」


「俺もまた会いたいんだけど、なかなか見かけないんだ」


カナタ先輩はそう言って落胆したように肩を落とした。


あたしに会えない事で、そんなに落ち込んでいるなんて知らなかった。


「カナタ先輩ってナンパとかするんだ」


彩羽が小さな声でそう言った。
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