絶対彼氏
けれど、それは話かけたことに反応したから驚いただけだった。


次の瞬間にはあたしの気持ちは落ち込んでいた。


洋二とはかけ離れた声。


サッカーをしているときに遠くの仲間まで響く、あんな声じゃない。


「段ボールから出てくれる?」


そう言うと、洋二は素直に段ボールから外へ出た。


身長も体格も本物そのものだ。


でも、それはあたしが写真を送ったからだ。


声についてはなにも書かなかった。


「すっげぇ。手の感触も人間だ」


雄大が洋二の手を握りしめてそう言った。

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