復讐日記
けれど、あたしは自分の笑いを止める事ができなかった。


「知ってる? 一番最初に死んだのはあたしの赤ちゃんなんだよ」


そう言うと、花音の表情がこわばった。


口をキュッと結び目に涙が浮かんでいる。


花音はあの時のことをまるで自分のことのように悲しんでくれる。


「……そうだよね」


花音がとても小さな声でそう言った。


「そうだよ花音」


「彩愛の心の傷は、きっと同じ経験をしなきゃ理解できない。そのくらい深い傷だと思う」


「花音ならきっとわかってくれる」


「でもね」


花音が涙を押し込めてあたしを見た。
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