復讐日記
鏡に映っている自分は確かに泣いているようだ。


「なんで……?」


手のひらで涙をぬぐい、顔をしかめる。


あんな夢をみただけで泣くなんて、自分でも信じられなかった。


あの2人は剛を生んだ最低な人間のはずだ。


少し優しくされた経験があるからと言って、泣くなんてありえないことだった。


「変な夢を見たせいだ」


あたしはそう呟き、洗面所へと向かった。


凍えるほど冷たい水で顔を洗うと、ようやく頭がスッキリしてきた。


今日は近所の犬の番だ。


それをちゃんと見届けて、腹の底から笑ってやるんだ。
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