復讐日記
でも、あいつが来ないなら意味がないのだ。


宏哉と普通のデートをしたって楽しくもない。


せっかく楽しい日になるはずだったのに、気分は最低だ。


「あのさ、悪いけど今日は帰るね」


あたしはそっけなくそう言って宏哉に背中を向けた。


「え? ちょっと待ってよ!」


宏哉があたしの手を掴むので、仕方なく立ち止まる。


こういうカップルっぽいことも、したくない。


「なに?」


「せっかく映画のチケットがあるんだから、行こうよ」


必死になって笑顔を作っている宏哉だけど、少しだけ目元がひきつっている。
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