復讐日記
☆☆☆

どうにか1人で家に戻って来たあたしは、タオルで傷口を塞いでいた。


思ったよりも浅い傷だったのが幸いし、無理に病院へ行く必要もなさそうだった。


血まみれになった手を洗って自室へ戻ると、ようやく安堵のため息が漏れた。


花音の豹変した顔を思い出すと今でも全身が震えた。


まさか、花音が宏哉のこと好きになるなんて、思ってもいなかった。


あたしはキツク下唇を噛みしめた。


途中から所有者が変わっても復讐日記は実行された。


それから先、花音が何を書くかが問題だった。


「調べなきゃ」


あたしはそう呟いて立ち上がった。


今まで復讐日記について調べたことはなかったけれど、花音に取られてしまった今あたしには情報が必要だった。
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