復讐日記
「そう?」


『そうだよ! 連絡も俺からばっかりしてるし、大事なことも言わないし!』


あたしにとって一番大事なことはお前の兄貴の子供を堕胎したことだ。


そう、言ってやりたい気分になったが、グッと我慢した。


そんなことを言って花音の耳に入れば、何をされるかわからない。


あたしが宏哉を傷つける事はできなかった。


「宏哉、今日はなんの用事で電話してきたの?」


もう聞いているのも面倒になり、あたしはそう聞いた。


すると、電話の向こうは沈黙に包まれた。


別れを切り出すかどうかで思案しているのかもしれない。
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