復讐日記
バイトという唯一の存在で繋がっているあたしの世界。


けれどその根本でさえ、復讐という二文字によって支えられていた。


剛よりも少しでもマシな人間になりたくて始めたことだった。


「結局、あたしは剛を引きずってるんだ」


自転車を押して歩きながら、そう呟いた。


剛の事は嫌いで嫌いで仕方がない。


けれど、嫌う事で自分自身の足かせとなっているんだ。


花音ともっと別の話をすればよかった。


花音の好きなタイプとか、好きな番組とか、そういうごく普通のことをあたしは何も知らないままだ。
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