復讐日記
☆☆☆

学校の目の前にある雑貨屋へとやってきたあたしは、その場に立ち尽くしていた。


数日前まで確かにここにあった雑貨屋が、今は跡形もなく消えているのだ。


店の前にあった100円自動販売機も、コカ・コーラの赤いベンチも、なにもない。


雪が降り積もった空地だけが、白く存在しているだけだった。


「なにしてるの?」


後方からそう声をかけられて振り向くと、高校の男子生徒が怪訝そうな顔をして立っていた。


「……別に、なんでもない」


そう答えて歩き出す。


「ここ、雑貨屋があったんだよな」


その言葉にあたしは立ち止まり、振り向いた。


「5年前くらいまでは。でも火災で全焼したんだ」


「なに言ってるの? 雑貨屋はついこの前まであったでしょ」
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