復讐日記
一攫千金とか、玉の輿とか、幸せ日記に書けることは沢山あったハズだ。


けれどミオリはそんなこと一行も書いていなかった。


剛のため、みんなのためにあの日記を使っていることが、一度見ただけで理解できた。


自転車をこぎながらあたしは歯を食いしばっていた。


寒さのせいじゃない。


なんだか胸の中が苦しかった。


自分の私利私欲のために日記を使わないミオリを、羨ましいと感じていた。


「くだらない、くだらない! くだらない!!」


あたしはあんなことに日記を使ったりはしない。


もっと自分の為に、もっと自分が満足するように使うんだ。


だからこれでいいんだ。


これで!


それなのに、なぜか涙がとまらなかった。
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