復讐日記
☆☆☆

一体自分がどうやって病院までやってきたのか、あたしは全く覚えていなかった。


ただ気が付けば病院のソファに座っていて、隣には吉野さんがいた。


バイト先の中で一番あたしを気にかけてくれている吉野さんが、ここまで連れてきてくれたのかもしれない。


「あの、あたし……」


「大丈夫よ海老名さん、なにも心配いらないからね」


そう言って吉野さんはあたしの手を握りしめて来た。


しかし、その手はひどく震えている。


「ごめんなさい、あたし混乱しててここまでどうやって来たのか覚えてなくて……」


「店長がタクシーを呼んでくれたのよ。海老名さん1人で病院へ行かせるのは不安だったから、あたしが付いて来たの」


「そうだったんですか……」


少し視線をずらすと、手術室が見えた。
< 291 / 321 >

この作品をシェア

pagetop