復讐日記
自分自身にそう言い聞かせて見ても、体の震えは止まらない。


あたしはペンを握りしめて幸せ日記をテーブルに広げた。


複数の日記を平行して使う事はできない。


それはすでに理解していたことだったけれど、書かずにはいられなかった。


《海老名彩愛に災難は降りかからない》


《周りの人間もみんな幸せ》


《復讐日記に書いたことは実行されない》


願うように書きながら、涙が次々と溢れ出してきた。


「お願い……復讐は止まって。止まって、止まってよ!」


何度も呟き、書きなぐる。
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