復讐日記
それなら電話で伝えるしかなさそうだ。


『常識がない』とか『やる気がない』と思われるのが嫌で、大切なことは全部面と向かって話すようにしていたが、こればっかりは仕方なさそうだ。


「店長になにか用事?」


「はい。昨日事故に遭った人たち偶然あたしの知り合いの両親だったんです。それで、あたしも葬儀に出席することになって、できればお休みをいただきたいんです」


あたしがそう言うと、吉野さんは驚いたように目を丸くした。


「そうだったの!? それなら私から店長に連絡しておくから」


「いいんですか?」


「もちろん。海老名さん、本当に無理しないようにね」


「ありがとうございます」


あたしはそう言い事務所を後にしたのだった。
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