復讐日記
勘のいい人たちは逃げ始めている。


でも、もう遅い。


あたしは両耳をきつく塞ぎ、男から背を向け、非常口を塞ぐように立った。


どうせあたしはギリギリまで逃げることができないのだ。


それなら、最大の被害を被るように手伝うだけだった。


「逃げろ!」


誰かが叫んだ。


だけど非常口の前にはあたしがいる。


みんな入って来た入口へと殺到する。


「どけて! どけてよ!」


後方からそんな声がして体を押された。
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