色眼鏡
美羽たちがこちらを振り向いた。


「里菜……」


立ち上がった夏生が驚いた表情をあたしへ向けている。


こうなったら、もう逃げられない。


あたしは覚悟を決めて一歩前へ踏み出した。


そのまま真っ直ぐ夏生の前へと向かう。


「なにしてんだよ」


美羽がそう声をかけて来たので、ビクリと体が震えた。


でも、引かない。


あたしは美羽へ向けて「あたしのことは無視するんじゃなかったの?」と、言った。


その瞬間、美羽の眉が吊り上がった。
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