色眼鏡

「あたしは、晃が誰を好きだろうと関係ないから」


ベンチに座り、夏生はそう言った。


あたしはその隣に座り「それは、勘違いだから！」と、慌てて言った。


「そっか。でも時々クラスメートたちが羨ましくなる」


夏生の言葉にあたしは驚いて目を見開いた。


「羨ましい？」


「うん。いろいろなことに夢中になれて、いいなぁって思う」


「弱い人間に執着してるだけでしょ」


今日の一件でそれがよくわかった。


誰が好きとか、好きな人を取られたとか、そんなこと関係ないんだ。


自分よりも劣っていると思っていた人間に先を越されるのが嫌なだけ。