色眼鏡
あたしはそれを見て思わず笑ってしまった。


「どうして笑うの? 滑り台はまぁまぁだったよ。ちょっと、お尻が痛いかもね」


そう言い、そのままブランコへと向かう。


「夏生って、実は楽しい人?」


あたしは夏生の隣のブランコに座ってそう聞いた。


「そうかもしれないし、そうじゃないかも」


「なにそれ、わかんないよ」


「人の顔って1つじゃないじゃん? だから」


そう言われてあたしはみんなの本心を思い出していた。


頭の中になだれ込んできた言葉たち。


グルグルと酔うような感覚を思い出す。
< 120 / 258 >

この作品をシェア

pagetop