色眼鏡
「本当は楽しくしてたいけど、楽しさを失った時に辛くなるから」


「夏生は、楽しさを失ったことがあるの?」


そう聞くと、夏生はオレンジ色に染まって来た空を見上げた。


「中学を卒業する前、仲が良かったおばあちゃんが老人ホームに入ったの」


「そうなんだ」


「お手玉におはじきに手遊び。いろんなことを教えてくれて、その頃はあたしも色々なものに興味があって、楽しくて。でも、お婆ちゃんがいなくなった途端、なんだかどれもこれもが色あせて見えた」


夏生は思い出すように言葉を紡ぐ。
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