色眼鏡
☆☆☆

「佳奈!」


体育の授業が終わると同時に、あたしは佳奈へ駆け寄った。


「里菜……」


「さっきはありがとう」


そう言うと、佳奈は照れくさそうに微笑んだ。


「別に、謝ってもらわなくてもいいよ。あたしだって、一旦は里菜のことシカトしたし」


「でも、助けてくれた」


「美羽って幼稚だからね」


佳奈の言葉にあたしは笑った。


どこにも味方はいないと思っていたけれど、こんなにもすぐ近くにいたんだ。


「よかったね」


夏生が後ろからそう声をかけてきた。


あたしは大きく頷く。
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