色眼鏡
あたしの質問に美穂は眉間にシワを寄せた。


「あんなところに店なんてできるワケないじゃん。草が生え放題なんだから」


「……そうだよね?」


「どうしたの里菜」


「ううん、なんでもない」


やっぱりあそこに店なんてなかったんだ。


そう思い、眼鏡のフレームに触れた。


じゃあ、あたしが入ったあの眼鏡屋は一体なんだったんだろう?


この眼鏡があれは夢じゃなかったと伝えている。


「なに深刻な顔してんの」


美穂が心配そうにそう聞いて来たのであたしは「なんでもない」と、誤魔化したのだった。
< 15 / 258 >

この作品をシェア

pagetop