色眼鏡
「オレンジ色の花だね。覚えてるよ。これはもらいものだ。特別なもらいもの」


「もらいものって、誰からのですか?」


あたしはそう訊ねた。


すると次の瞬間、フサエさんの表情が変化した。


なにかに怯えたような顔。


黒目がキョロキョロとせわしなく動き回る。


この前来たときと同じだ。


「赤い眼鏡。赤い眼鏡」


そう言い、あたしを指さした。


「お婆ちゃん、この子のこと、覚えてるの?」


夏生がそう聞いた。
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