色眼鏡
「赤い眼鏡の子だ」


フサエさんが言う。


「わたしもその子も選ばれたんだ。赤い眼鏡に選ばれた。そこから逃れる事はできない。代用品はない。嫌なら、奥深くに隠してしまうしかないんだよ」


『代用品』


あたしはコンタクトレンズが手に入らなくなったことを思い出した。


「眼鏡に選ばれるってどういう意味ですか?」


「赤い眼鏡。赤い眼鏡。いずれ思い出す」


「フサエさん?」


「赤い……」


フサエさんはそのままベッドに横になり、目を閉じてしまったのだった。
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