色眼鏡
☆☆☆

シカトはなくなったけれど、クラスメートたちの態度を見ていると心のモヤは晴れなかった。


どうして何事もなかったかのようにふるまうことができるんだろう。


たった2日間だったとしても、この子たちはあたしをハブっていたのだ。


そう思うと、みんなの笑顔は気持ちが悪い物に見えて来る。


どれだけ優しい言葉をかけられても、本心が聞こえて来なくても、相手のことが信用できなくなってしまう。


「里菜。なんで昨日返事しないんだよ」


晃にそう言われてあたしは「忙しかったから」と、適当な言い訳をした。


晃が相手でも、自然と距離を置いてしまう。
< 169 / 258 >

この作品をシェア

pagetop