色眼鏡
☆☆☆

あたしだった晃のことを避けたいワケじゃない。


できればちゃんと話がしたい。


冷たい水で顔を洗い、あたしは自分の顔を見つめた。


ちょっと疲れた顔をしているかもしれない。


「里菜、大丈夫?」


その声と同時に鏡の中に夏生の姿が見えた。


「大丈夫だよ、ありがとう」


あたしはそう言い、ほほ笑んだ。


夏生が相手ならあたしは心から笑うことができる。
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