色眼鏡
「みんなも勝手だね。見てたらイライラしてくる」


そう言い手洗う夏生。


「珍しいね、夏生が怒るなんて」


クラスにいる時の夏生はいつでも大人っぽくて、何に対しても感情的にならない子だった。


「そうだね……。里菜と一緒にいるようになってから、ちょっと変わったかも」


夏生はそう言い、笑顔を浮かべた。


「あたしに興味が出て来たってこと?」


冗談っぽくそう言うと、夏生は「そうかも」と、驚いた顔をあたしへ向けた。


「里菜の言うその眼鏡のことも気になるし、里菜自身のことも気になる」


真正面からそう言われると、なんだか少し照れてしまう。


「すごいことだよ。あたしが誰かに興味を示すなんて」
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