色眼鏡
そう言う夏生の目はキラキラと輝いている。


「フサエさんもきっと喜ぶよ」


お婆ちゃんが老人ホームへ入った事がキッカケになり、物事への興味が薄れてしまった夏生。


それも、少しずつ変わろうとしている。


2人で教室へ戻ると美羽たちの鋭い視線を感じた。


まだ、あたしに対しては不愉快な気持ちを持ったままなんだろう。


「(夏生がいなかったら、里菜なんてまだハブられたままだったのに)」


そんな声が聞こえてきて背筋が冷たくなるのを感じた。


晃と2人で登校してきた。


ただそれだけのことが、美羽をここまで激怒させるなんて思ってもいなかった。


「里菜、平気?」


夏生があたしの顔の覗き込んでそう聞いて来た。
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