色眼鏡
お店まであと少し。


そう思った時だった。


あたしは視界の端に見たことのない店が見えて立ち止まった。


振り返ってみると、今まで空地だった場所に小さな眼鏡屋ができているのだ。


「こんなところに眼鏡屋なんてあったっけ……」


コンビニの半分くらいの大きさしかない店だ。


プレハブをそのまま持って来て商品を並べただけのように見える。


この建物ならきっと数日あれば完成するだろう。


けれど、その建物には店の名前が書かれていないのだ。
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