色眼鏡
そして、安田さんは眼鏡屋を見つけたんだ。


「その上司の本心はわかったんですか?」


夏生がそう質問をした。


「もちろん。同僚が言っていた通り、俺に期待をしているからこそ口うるさくなっていたんだよ」


「本当に、口から出る言葉だけで相手を判断することなんてできないですね」


あたしは深くため息を吐き出してそう言った。


「その通りだよ。俺は今でもその会社で働いてる。この眼鏡があってよかったと思うよ」


そう言う安田さんはとても穏やかな笑顔を浮かべていた。
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