色眼鏡
☆☆☆

あたしもフサエさんも、そして安田さんも同じ眼鏡を手にしていた。


けれど、それはとらえ方1つで世界の色を変えるものだったんだ。


フサエさんは今でも眼鏡を見たら取り乱し、混乱してしまう。


一方の安田さんは、この眼鏡があってよかったと言っていた。


「なんか、眼鏡に対する見方が変わった気がする」


夏生と2人で家への道を歩きながら、あたしはそう言った。


「そうだね。あたしも安田さんの考え方にはびっくりした」


夏生がそう言って同意してくれた。


怖い人だと思ったけれど、眼鏡に対してすごく前向きな意見を持った人だった。


「安田さんに会えてよかった。あたしもちょっとは変われる気がする」


「里菜が元気になってよかった」


夏生がそう言ってあたしの手を握りしめて来た。
< 202 / 258 >

この作品をシェア

pagetop