色眼鏡
2人が家に来るのは久しぶりなことだった。


「里菜の部屋相変わらず綺麗だね」


「あんまりみないでよ、恥ずかしいから」


あたしは佳奈へ向けてそう言い、2人にジュースを差し出した。


「もうすっかり元気みたいでよかった」


美穂がそう言って来たのであたしは頷いた。


「検査結果もなんでもなかったから大丈夫だよ」


「そっか(なぁんだ、つまんない)」


美穂の本心に胸がチクリと痛む。


けれどあたしはまっすぐに美穂を見つめた。


きっと、美穂だって人の事を悪く思うばかりじゃないはずだ。
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