色眼鏡
「そういえば午後から晃が早退したんだよね」


美穂の言葉にあたしは一瞬視線を泳がせてしまった。


「そ、そうなんだ」


言葉につまりながらそう返事をする。


「もしかして、里菜のお見舞いに行ったのかもって思ったんだけど」


「き、来てないよ!」


あたしは慌ててそう言った。


これだけはバレるわけにはいかない。


「そっか、行ってないんだ(本当だろうなコイツ)」


「晃って時々サボったりするよね。困ったヤツ」


早口でそう言い、しまったと口を閉ざした。


美穂の鋭い視線が飛んでくる。
< 226 / 258 >

この作品をシェア

pagetop